毎日にっきをかくのはあきらめた

きっかけはほんのささいなことだったのだが、サンジと喧嘩した。
いや、こちらがささいだと思っているだけで向こうにとっては重大事だったのかもしれない、サンジとの喧嘩はえてしてそういう原因で起こる。
そもそもサンジと夏休みの計画を考えていて、海に行く日を決めたまではよかったのだが、そのあとサンジはどういう水着を着るかとか、そんな話をしはじめた。
ゾロはどうせいつものスクール水着で行くつもりだし、本当にどうでもいいことだったのだが、サンジは延々、どの水着がどうで形が色がどうのこうのとうるさかった。
そのとき二人は学校帰りの公園のベンチに座ってダラダラ話していたのだが、そういえば今日はナルトのアニメの日だったと思い出し、帰りたくてたまらなくなった。
サンジの話はまだ続いている。
やっぱりプリントだったら花柄かなしましまかな、おれピンクが似合うとおもうんだけどゾロはどうおもう？
適当にうんうん頷いていると、さらにはビキニのパットが分厚くていいんだけど落っこちたらどうしよう、とかくだらないことを言ってきたので、うるせえ貧乳、と、つい、言ってしまった。
それはタブーであった。
サンジは胸の大きさに多大なコンプレックスを抱いているのだから！
そこからは思い返すこともできないくらいくだらない口喧嘩になった。
しかし、筋肉バカだのおとこおんなだの言われるのは構わなかった。
いつものことだからだ。
サンジの悪口のレパートリーはゾロよりもずっと多いけれども、疲れてくると段々単調になってくるのだ。
今日のとどめのひとことは「デブ」だった。
そのひとことを最後にお互いに背を向けて家に帰った。
帰るとナルトはすでに終わっていた。
なぜだかはわからないけれども、その日、ゾロは夕食の白米を半分残した。